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大会レポート/by ジャンキー稲垣・
3月8日、例年のごとくサザンハリケーンが開催、いよいよJNCCが開幕した。
近年ではWEXがほぼ1年を通じて全国で展開されていることから、クロスカントリーレースの開催されていないシーズンオフがわかりづらくなっているものの、やはり日本を代表するモンスターイベントがはじまってこそ春というべきもの。 春の到来待ちきれず、大阪に集まりしライダーは392名、相も変わらず賑やかな会場である。
トップカテゴリーのAA1では、渡辺学が昨年のチャンピオンでありゼッケン1をつけて走る。対して、鈴木健二がタイトルの奪還を目指すといった形だ。 もちろん、小林雅裕や矢野和都も隙あらばこの座を狙ってくるはず。矢野は6月のエルズベルグロデオへの参戦を見込んで昨年最終戦同様に2スト250での参戦となるかと見込まれていたが、しっかりとKTM旗艦350EXC-Fを仕上げてきて頂点を目指す。 おもしろいところでは、昨年AA2を走っていた松尾英之がAA1にスイッチ、マシンはなんとモトクロスの老舗チーム、モトロマンが仕上げたCRF450R。また、フルシーズンでの参戦は難しいとのことだが、この開幕戦からベテランモトクロスIAの沼田誠司がJNCCへ殴り込み。 ルーキーの山本浩史にも注目が寄せられる。エルズベルグロデオフィニッシャーで地元と言ってもいい田中太一もスポット参戦。
AA2は、小坂竜也のタイトル防衛に鼻息を荒くするのが榎田諒介、石戸谷蓮、澤木千敏といったところ。また、Aクラスではいよいよ01のゼッケンを背負うことになった五天翔や、渡辺裕之らのベテラン勢に、モトクロスIAの岡田涼、渡會修也が襲いかかるといった布陣。 また、メーカーの動きも非常に活発な開幕となった。
KTMジャパンやハスクバーナ勢では、石井正美が今季よりハスクバーナFE250にスイッチ。特にJNCC会場を席巻するパドック配置で圧倒。また、YZ250FXで話題の多いヤマハ勢は、みごとにこの開幕戦での最多参戦メーカーへ。 ホンダも熊本から例年通り多数のライダーが送り込まれ、特に今年は小林雅裕と井上雄介の二人がシングルゼッケンをつけることもあって粒が揃った形だ。 また、特筆すべきはスズキ。澤木千敏の復帰にあわせて、名門SRFレーシングがスズキ勢を切り盛りする形でJNCCの一角を担う。 試乗会にも澤木千敏チューンのRM-Z250が出されるなど、よもやクロスカントリーマシンのリリースさえ想起させる勢いを魅せる。
FUN GPでは、モトクロスコースベースのサザンハリケーンであることもあり、マシンの強み(モトクロッサーTC85)をフルに生かし切ることができた岩井良宏が久々のFAクラス優勝。 シーズン前にしっかりとセッティングを合わせこみ、走り込みをしてきた岩井の嬉しい開幕戦となった。 2位はFUN GPの王者、北陸の鉄人こと山本正がさすがの入賞。
また、この開幕で最大の事件ともいうべきだったのがFBクラス。XCナウにも寄稿いただいていた山田太陽(小学6年生)が、見事にクラス優勝・総合でも3位に食い込む快挙となった。 2位の櫻井隆仁はスピードも持ち合わせるベテラン、マシンもWR450Fと大排気量だが、山田は総合も狙えるかというほどの走りでFUN GPを席巻。 なお、山田は、このシーズンより新チームアクションレーシングのメンバーとして活動、中部・近畿のモトクロスレースでも活躍が見込まれている。 今後はクロスカントリー界の期待を背負うことになるだろう。 FUN Cはモトクロスでも成績を残しているという大地良侑が、FDは保坂修一が優勝。 FUN Dのライダーはすべて4桁ゼッケンとなり、XC時代の象徴ともなっている。 WAはSRFの菅原悠花、WBは木村けい、WDに杉本みな子がそれぞれ優勝。
注目のCOMP GPは、オープニングラップから渡辺学、鈴木健二が前に出る展開に。 矢野和都がこれに食い下がり、小林雅裕は出遅れた模様。 矢野は2番手だった鈴木をぴったりとマーク、執拗にバトルをしかけていき、序盤では鈴木をパスする場面も。 しかし、レースもこなれてくるとだんだんと矢野が後れを取る形に。
中盤は鈴木・渡辺が延々バトルを繰り広げる。 渡辺は「丸太も難しくなかったし、差が付くところがなかった。 そういう意味では、すごく大変なレースでしたよね」と後に語っているように、サザンハリケーンならではの体力勝負へ。 本来、二人が乗るY250FXには、まだビッグタンクがデリバリーされていないのだが、二人は勝利への最低条件と判断(ノーマルタンクだと給油は2回になって不利に)、無理矢理モディファイをしてタンクを装着してきた。なみなみならぬ勝利への情熱が、バトル4年目にしても垣間見えるトップ陣。 途中、渡辺を鈴木がパスするものの、大きくリードすることなくレースは続行。ピットワーク両者違わぬスピードで、別次元の様相を呈する。
しかし、後半いよいよ鈴木がバックマーカーに阻まれる痛恨のミス。傍目にはわからないものの、これで鈴木の電池切れといったところでペースが落ち、渡辺がリードを拡げて優勝。渡辺は「自信のあるラインを持っていたし、あんまりケンジさんにばらしたくもなかった。 途中で前に出したのは、そのためもありますね」と言う。 鈴木は精根尽はたした形だが、渡辺はまだ余裕の残るところ。
テールトゥノーズのバトルは、まさに観客を魅了するもの。 しかし、その裏には巧みな二人の戦術が隠されている。早めにスパートをかけてしまえば、一人でペースを作らないといけなくなり、余計な体力を消耗する。 かといってバトルで気を抜けばあっという間にリードされてしまう。 あまり自分の持っているラインも相手に明かしたくない、だから前を引かせるという戦術もある。 あまりに毎戦続くテールトゥノーズに、「あれは本気なのか」といぶかしがる方もいるかもしれないが、あれこそがJNCCのアートであり、二人の理詰め将棋のようなもの。
AA2では、石戸谷蓮、榎田諒介がバトルを繰り広げるものの、こちらは榎田に軍配。Aクラスは、調子がよかったとレース後に語る渡會修也が終始レースをリードした。
第2戦、広島はもうすぐだ。
TEL:026-236-6003・・JNCCは月曜日が移動日になることがあり土曜/日曜/祝祭日 は大会開催やコース設営などで留守になります。・info@jncc.jp